論文作成法その2−実際の書き方

徐々に完成に近づける

最初に適当に書いたものを、徐々に完成に近づけていく、というのがここでの目的です。
これはつまり、いきなり完成を目指さないということです。個々の仕事しかできないから、それを完成させるにはこれ以外には無理だという認識の上に立ってます。

到達目標

  • 主張とソースとに別れている
  • 個々の主張間のつながりが明らかで過不足ない。

この二つを満たしていればいい。この二つを満たしていれば、相手を説得させるという点では十分である。要は、それぞれの主張が、否定されない状態になり、全体の論理構成も整っている状態になれば論文として満点になるということですね。
また、ここで到達したいのは論理的に否定できない、という範囲であり言い回しとかその他細かいところは後で適当にやればいい。文字の訂正とか、そういう範囲ね。

人間の身体的限界

ここに到達するために枷となるのが、人間の身体的限界である。

  • 一挙に多くのことが把握できない。
  • 一度にできる作業量が限られている。
  • 一つのことに連続して取り組む時間が限られている。

ざっとこれらが、論文を作成する上で考慮しなければならないものだと思う。

ここでの課題

到達点と問題点を合わせると、ここでの課題は、一度に行う作業の量、範囲、時間が限定されたものでありながら、なおかつそれが論文を完成型まで徐々に近づけていく作業にする方法を見つける、ということである。
個々の作業はバラバラに行われても、それが仕事として一つのものとしてまとまっている、ということです。

これを具体的に言うと、個々の仕事をやっていても、無理なく、主張とソースが自然に明確になり、その主張間が論理的に連続していて論文として読めるものになっているようにする、ということです。

そのための方法論

そのためにはどうしたらいいか。基本は、仕事を分割することです。それぞれの主張にソースが欠けているのはないかを探し、欠けていたら、あるいはそのソースが不適切だったらそれを付け足し、また余分な部分、重複していてわかりにくい部分があったらそれを削る。個々でやる作業が何かをはじめから確定してしまい。それのみを行うというようにして、かつそれを順序よくしたら論文が大きくなっていくのではないか、という発想ですね。

もう一つが、全体像を把握すること。個々に没頭していたら、蛇足なり一度考察したことなりそもそも考察する必要のない、主張をソースで補強するのでも何でもない考察に向かってしまうからですね。

  • 個々の作業の分割
  • 全体像の把握

この二つです。
で、具体的にどうしていくかに入ります。

前置き

ここからは、方法論として各自異なってくることがあり得ると思う。
僕の場合は、プリントを使うということ、時間的、場所的に三つに区分しそれぞれの作業を分けることを行った。
PCを使うかどうか、とかメモをどうするかとかでもっと適切なものになり得る気もする。持ち運べるノートPCを持っていたら、ここでネックになっている打ち込みとか編集だとかももっと楽に解決できたかもしれない。

まあいいや。とりあえず書きます。
以下で想定しているのは、一日で具体的にどういう行動をとるかです。適当に書いたのを、どう大きくしていくか、ですね。

全体像を見る

全体の主張、骨格だけを眺め意味が通っているかどうか調べる。
これは、最初の頃は論文全体を見るだけでも問題ないかもしれないけれど、ある程度大きくなり構成も複雑になると、その把握も面倒になるので、根拠とか派生的なことをすべて無視して全体像をつかむ方法が必要になる。目次を作るとか、論文の主張のところだけ強調された(まるをつけるなり線を引くなりして)のを用意する、とかがいいか。

全体像を見る中で、主張同士で論理的につながっていないところや、主張同士のつながりで適切な場所に配置されていないものを見つけたらそれを適切な位置に入れ替える。プリントで、分かるように何か書き込むのでいい。

つまり、ここでやっているのは「要は何なのだ」という視点で見ることですね。一般に、誰かが書いたものを読むときには、個々の証明だとかつながりだとかではなく、要は何がいいたいのか、を主眼において読むことになると思う。そして、そのうえで引っかかったことがあれば、それを詳しく、証明にまで立ち入り読むということですね。それをここで行う。

そして、今日考察する範囲を決めてしまう。これは、章なりの論文でなされている区分に従って行う。ある程度まで論文が大きくなったなら、その部分だけを独立にプリントアウトするのがいい。

個々の作業

まず、ここでの考察があまり脱線しないように、全体からこの章がどう位置づけられているのかを知る。僕は、最初にそれを文書に書き出すということをしていた。で、実際に考察に入ります。

ここでの基本は、できるだけ不要な情報を排除することです。
そのため、ここで何をやればいいのかを単純化する。それは、以下の三つ。

  • 主張で、ソースがないものはないか
  • わかりにくい表現や、だぶっているところはないか
  • そこで根拠になっているのは、脆弱で否定し得るものでないか

これらの観点で、この三つを順に、あるいは同時に行うといい。これらは、別に論文の全体像だとか、他の部分がどういう構成になっているかに関係なくやることができる。個々の作業でやる仕事を確定させることで、負担を少なくし、効率を上げるということですね。この三つなら、何も考えずに作業として行うことができる。
基本は、これもプリントに書き込んでいくという形にする。それだと修正が複雑すぎる、という場合には計算用紙なりに書いていくといい。

この部分でひっかかるとすれば、主張のソースをどうするか。ここでは多少頭を使う必要が出てくる。これについては、後で書きます。

打ち込み

上の二つの作業をパソコンに打ち込みます。ここでの基本も、できるだけ必要最低限の情報で処理すると言うことです。
これには、上で書き込んだプリント、もしあれば書き込んだ計算用紙を用いる。それを打ち込んでいく。上で行った作業は、具体的に文章をどうするかという観点で行われたものだから容易に行えると思う。
打ち込む際には、今まで作成した論文を利用。新しいファイルに分けて保存した方がいいから、そこからコピペというのがいいのでしょうか。自由にしていいと思う。
当然、不要だと判断した章は削ります。

新しいファイルをどうするかだけど、僕はバージョン情報をファイル名の末尾につけていた。その1とか、その2とか。このようにしてまとめたものは、アイデアのメモとは異なるから別のフォルダに保存した方が煩雑でなくなる、というのもなくはないけど、結局そうすると死蔵してしまうのでこうしている。まだ改善の余地あり。

あと、ここでは過去に作ったバージョンだとか、その他この日に作ったプリントの書き込み、計算用紙以外は用いない。常に最新の情報のみを用いて、その訂正を繰り返すというほうが作業が単純で済むからです。過去のことはすべて、現在の論文の状態にいかされていてそれが最善なのだ、と判断しましょう。

で、今日使った論文は捨てます。僕はプリントボックスみたいなのをコピー用紙の箱で作って、そこに適当にぶちこんでいます。

その他のこと

煮詰まったらどうするか

とりあえず他のことをする。思いつかないのなら、いくらプリントやなにやらと向かい合っても無駄だからだ。
僕の場合は、漫画喫茶にいって漫画を読みまくるということをしていた。また、散歩をするのもいい。
あとは、独り言を言ってまとめるとか。誰かに説明するつもりで、ぶつぶつつぶやいてみる。そうしたら、いまどこで煮詰まっているのかが分かる場合が多い。

僕は上のことを、遠くの漫画喫茶に歩いて行き、その道すがらぶつぶつつぶやくということで行っていた。

あと、お風呂に入るのもいい。銭湯に行き、サウナと水風呂に入るのを繰り返す。水風呂に入ると、アイデアが浮かぶ気がする。

批判されない方法−第一次資料

上で言ってた、主張にソースが欠けていたとき、あるいはそれが弱い場合に具体的にどうすればいいのか、という話。
それには、その学問が成り立っている最終的な根拠、これは絶対に批判できないというものを探してそれを用いればいい。いわゆる、第一次資料でだれの解釈も入っていないものがいい。
今ここでやっている話で言えば、それは、原典に書いてあることである。思想家の解釈がここで問題なのだから、主張の根拠を問われたときに「原典のこのページにこの記述がある」と言えば、相手は絶対に否定できないのだ。
根拠として用いることができそうなのは、一般的常識なり一般的解釈なりなんなりいろいろありそうだけれども、実際に用いることができ確実なのは、これだと思う。そういう第一次資料が何かを知り、そこから自分の主張を証明するようにすればいい。
あと、これに対しては、一面的だ、おまえは原典の都合のいい一部だけを取り出したのではないかという批判がありうるので、その第一次資料を大量に用意し、相手から反論をする気をそがせるというようにしたほうがいい。

時間配分と全体の構造

ここでやることは、複数に区切られているからそれぞれ、あらかじめ決めたとおりに順序よくやるのがいい。
大きく分けると、打ち込みと、全体の構成を見て個々に分割するのと、個々の研究を行うのと、三つがある。
これは、打ち込みを中心に考えるといいとおもう。これがないと、先に進めないからだ。僕は、朝起きた後にこれを行うようにしていた。後は、他の二つをすませてからすぐにやる、というのもいいけれど、疲れでやれない場合もある。
あとは、毎日やることとかくらいか。また、生活リズムをできるだけ乱さないようにするというのも重要である。

まとめ

ざっとこんな感じでしょうか。この方法を用いれば、君も数週間で論文を書ける!かもしれないです。
また、思い出すことがあったら付け足すか新しく記事にするかしますね。