PoICのタスクフォースを「メモとPC」に取り込む

前置き

今回やるのは、PoICのタスクフォースの分析と、僕がやっている「PCを使ったメモ」への取り込みです。

PoICのタスクフォースについて

PoICの説明

PoIcというのはPile of Index Cards の略で、

PoIC のエッセンスは極めてシンプルに表現することができます。 

   1. 頭の中のアイディア・身の回りの情報を、カードを使って収集する
   2. それを箱の中にすべて時系列で保存していく
   3. それをあとで利用し、新しい知恵・知識・成果の再生産を行う

とのこと。PoIC とは? - PoICより。
色々特徴はあるけど、主な知的生産に関係する本から様々なことを取り入れてあったりカードを使う際に出てくる問題点を、うまく対処していたりしていて、カードを使う方法の発展型に当たるのではないかと思う。いろいろなところに実際の経験からのフィードバックを感じます。あと、体系化しているのも特徴。知的生産の情報って、本とかではなくてこういうwikiのような形があっている気がするな。

タスクフォース

PoICの過程のひとつに、タスクフォースというのがある。上で言えば、再生産のところにあたりますね。

  • 機が熟したら、カードが入った箱の中を走査し、関連性のあるものを抜き出していく。
  • そしてそれをさらに小さいグループに分けていき、ついでそのそれぞれのグループ間に脈絡を見つける。
  • そしてそれを文章化する。
  • 最後に、このタスクフォースに使われたカードはお役ご免ということで、最初それを取り出した時系列の箱とは別の場所に移す。

カードの蓄積≠創造的発想

普通にカードをためるとしたら、意識はただ書いてためることのみに向かう。書くの自体は生産的行為だしたまっていくのをみるとうれしいしで結構楽しいわけですね。けれども、カードの蓄積があることは、必要条件ではあるけれどもそれ自体が目的ではない。カードをただためるだけでは、結局書いたアイデアを忘れてしまうので次につながらない。カードを書き、ためることで感じる楽しさというのはその場限りのものでしかなく、次につながらないのなら空虚なのです。同じことを何度も閃き、そのたびに発見の喜びを感じても前に進まないのですね。そこで本来の目的であるカードを利用するという過程を組み込む必要がある。
これはカードを蓄積するという、実際にやっていることとは別の視点。カードを蓄積しようということからいったん離れて、引いたところで見ない限り気づけないわけですね。だから結構難しい。
今まで書かれた、知的生産についての本でもこれについて書いてある本はほとんどなかった。それで、僕はこの過程を独自にやっていた。けれども、これだという方法は見つかっていなかった。メモをパラパラみるだとか、そういうのもその模索の一つです。僕の中では、メモが死蔵している、という問題意識となってずっとふらふらいろんなとこにいったりしていた。

まとめる方法論としてのタスクフォース

タスクフォースは、カードをまとめるということを目的として対象化し、そのための方法というのを独自に組み込んだものです。
というわけで、まとめの方法論だとか何だとか色々やっていたアプローチに対応するものずばりが、このタスクフォースなのです。
その特徴は

  • 定期的にカードが更新され、有用なもののみが残るシステムになっている
  • まとめるという過程に焦点を置き、独自にとりあげていること

この二点にまとめられると思う。
イデアをアイデアのままにしておいても、時間がたてば結局意味のないものにしかならないし、それはアイデアからもっと具体的なものに昇華させて初めて自分にとって意味のあるものになる、ということですね。
PoIC自体はずっと前から知っていて、自分で試したこともあったのに何でもっと早く気づかなかったのかな。いや、僕は半年間くらいPoICに影響されて、カードを使っていたことがあったのよ。ドックとか作ってたし、モレスキンでカードパースも作ってたし。まだ残っているから、そのうちデジカメで撮ってうpしよかな。

タスクフォースをPCを使う方法に取り込む

タスクフォースというのは、アイデアメモがたまってしまうことに対しどう処理するかという発想です。だから、カードを使う方法以外にも応用できると思われる。
そして、タスクフォースは僕が陥っていた問題を解決するのにも、使うことができる。僕がしようとしていたのも、アイデアメモがたまるばかりで、いつまでもそれを生産的な行為に利用できず、どんどん過去のメモが忘却によって死に、無意味なものになっていくことへの対処だから同じ問題なのですね。

タスクフォースという発想は、既に用意されている。僕がやるべきことはこれを、PCを利用する方法に取り込むこと。

タスクフォースをどう応用するか

PoICのタスクフォースの過程に対応させてみる。

  • カードの走査、抜き出し ==>howmの一覧から、関係しているメモを走査。関係するメモのタイトルの前にタグをうつ
  • まとめ文書を作る ==>Grepを使い、先にうったタグで検索。それを参考にして文書化
  • 使ったカードを、元とは別の場所に ==>PPxを使い別のフォルダに移動

こんな感じですね。では、実際にやる過程を順に見ていきます。

テキストデータのタスクフォース

カードの走査

使うのは、howm on xyzzyとPPxです。howmのほうは、別にTextTreeとか他の方法でも代用できる気もする。

とりあえずhowmでの方法論を書きます。
時期が来たら、関連するデータを抜き出す。これについては、タイトルの前か後ろに適当な項目名を振ればいい。
一応言っておくと、howmでは行頭に"="がついているとそこがタイトルになります。
適当に僕のメモの一つをコピペすると、

==========================>>> ~/howm/2010/03/2010-03-15-145010.howm
= まとめ文書の保存場所

D:\data\MyDoc

に入れる。
バージョンも振る

[2010-03-15 14:50] >>> ~/howm/2010/03/2010-03-15-144946.howm

こんな感じです。
では話を戻します。メモの中にタイトルが

連続的考察の記述

であるファイルと

アイデアの取り扱い

であるファイルとがあって、それの内容が共通しているなと思ったらそれぞれ

メモが死蔵している−連続的考察の記述
メモが死蔵している−アイデアの取り扱い

というようにタイトルを変えます。「メモが死蔵している−」というのが項目名ですね。これは、あとでGrepで検索する時の検索語に利用するだけなので、適当でもいいと思います。
「メモが死蔵している−」までコピーしておいて、howmで一覧から次々に見ていく。そして関係してそうだな、と思ったら、それを開き元のタイトルの前にペースト。で、それを一覧が終わるまで繰り返していく。途中で、これが関連するものの最初だと思ったらそこでやめてもいい。そして、更新したのを上書き保存。
これで、関連してそうなメモのすべてに目印となる項目名がつけれたわけですね。

まとめ文書を作る

ついで、関連しているメモの一覧を表示します。
これには、先のプロセスで付けた項目名を利用します。その項目名でGrepをします。
正規表現を使って、タイトル行に項目名が入っているのだけ検索したい!というのなら

^=.*項目名

としてもいいです。そしたら、さっき項目を振ったファイルがずらっと並ぶはず。

で、それを見ながらまとまった文書を書く。これは、別のエディタかhowmとは別にxyzzyをもう一枚起動するかしたほうがいい。
ちなみに、VxGrepを使ってもいいかもしれないです。前にもxyzzyのGrepとVxGrepで説明したけど、こんなのです。

そして、文書を書き終わったら適当なところに保存。僕は

D:\data\MyDoc\1001
D:\data\MyDoc\1002
D:\data\MyDoc\1003

みたいに月ごとにフォルダを作り、その中に保存しています。

PPxを使い別のフォルダに移動

この文書を書くのに使ったファイル、すなわち項目名を振ったファイルですね。これは別の場所に移動する。前回やったことそのままですね。PPxの連動ビューで確かめながら、チェックをしていきそれをまとめて移動。"D:\data\メモが死蔵している"フォルダを作ってそのなかに、というのがいいかな。
で、それを繰り返す。そうしたら、まだ煮詰まっていないアイデアメモだけが、howmディレクトリに残ることになるわけだ。タスクフォース終了!これで、過去に作成したアイデアメモが死蔵されてしまうという問題と、アイデアからまとまったものを作る方法論の問題とか解決されるわけですね。

あと考えること

まとめる方法自体の追求。論文の書き方とかでやってたこととかが関係するのかな。kj法や、PoICでも多少そうだけどあまりカードを並び替えて発想ができるとは思っていない。どちらかというと僕の場合、まず思いつきがあってそれを、記憶の代わりにデータで補完するだとか、カードから一つまとまったものをとりあえずつくりそれの質を高めていく、というようになると思う。