MoE以降の試行錯誤
まとめるという過程の組み込み
僕がずっと悩んできたのは、編集の過程だった。アイデアをため、保存し、死蔵させないということはもう確立している。あとは、それをどうやってひとつにまとめるか。
そして色々なアイデアを出し、試してきた。MoEを確立した以降は、ずっとこのために動いてきたように思う。そして、それが今や、ポメラによって解決したのではないかと思っている。
まとめるという過程の必要性
まずは、そもそもなぜ編集する必要があるか、について。
アイデアを出すのは、それを元にして何か新しい地点に到達し、新しいことをするためである。アイデアはその時々で出るというのは誰にでも共通している。だが、その大半は忘れ、一度思いついたことを何度も思いつき、見込みのないアイデアを重視し、その方向にずっと進んで無駄な時間を費やしている。だから、これを最大限に活かす技術が必要になる。
天才と一般に呼ばれるものに、僕はこの技術によって、なろうとした。誰だって身体構造は似通っているはずであり、得る情報量も同じである。誰かが100年生きる間に他方は10000年生きているだとか、そういった差異があるわけはない。成功しているやつも、天才も偉人も誰でも、あるのはその情報の処理の方法。同じことを経験し、思いついたとしてもそれを利用できるかどうか。学習能力の差しかないはずなのである。
このとき、アイデアを出すというのは前段階として必要であるにすぎない。そこで求められるのは、保存、死蔵を防ぐ、検索性、重要なもののみ残る仕組み、すぐにメモを作れる仕組み、取り出せる仕組み、などだろう。これについては、MoEで完成したと思っている。だが、これではまだ何も為していないのである。必ず必要になるが、そのものではない。
よって、それをまとめ、不要なものを除去し、有用なものを発展させ、そのとき取り組んでいた課題が完全に解決されなければならない。具体的には、ここでまとめたことをいざという時に想起すれば役に立つ、という程度まで練り上げる必要がある。
まとめる過程の本質
手元に必要な情報があり、かつ一つのテーマだけを考え、それをデータとして入力できる環境が必要になる。
これは、基本的にはアイデアを思いつく環境とは別個である。アイデアを思いつくときには、できるだけ集中は散漫であった方がいい。本を読むなり、歩くなり、何かをしながらなりしながら、思いつくものを即座にメモできる環境があればそれでいい。
だが、ここでは一つの事に集中する必要がある。他のことについては思いつきもせず、関係することだけを頭に入れ、それ以外の事については意識しない状態を持続させる。そのようにして、一つのまとまりを持った文書を作り出す必要がある。ここでは、その思考がとぎれさせることは不合理なのだ。ずっと一つのことだけを意識していて、それを即座に反映できるのが理想である。
そしてこれは、結局は物理的に解決するしかない。意識的に、他の情報から遮断される環境を整え、長時間それに没頭することが求められるのである。
だが、今までやっていたのは、そのためのストレスを緩和する、姑息療法だった。計算用紙をためるのもそう。プリントに書き入れるというのもそう。連続的な思考ができないから、まとめる作業自体は断続していても、すぐにそれに没頭、以前それについて思考していたのと同じ状態に素早くたどり着く状態を作る工夫をする。あるいは、個々のメモをそれに適したように、あらかじめ作り直しておく。そのようにして、これまで同じ地点をうろうろしていたが、結局解決しなかった。思考を継ぎ足し、変更していくというのが求められることなのに、それのまがい物しかできなかったのだ。
計算用紙をためるだとか、アイデア面なら何とかごまかすこともできる。だが、それだけに集中するための環境を作り出すことは無理だった。
ここ一年で試みていたこと
過去のメモを見てみると、ずっとこのことについて取り組んでいた。物理的に解決しないことを前提に、試行錯誤している。せっかくなのでそれについてかき出してみる。
アイデアメモの洗練
アイデアをまとめる過程がうまくいかないのは、そのアイデアメモの質が悪いことによるのでは、というように整理した。
そこで、その質を上げることを試みていた。
- 1st2nd
計算用紙に、いつものようにアイデアを書き付けた後、しばらく時間をおく。それをすぐに、打ち込んだりしない。
そして、その計算用紙を破いて横におき、それをみながら、また計算用紙にメモを書き出す、ということを行う。
最初の段階では、構造までは把握していないだろうからそれを、このような過程を経ることでまとまったものにしようとしている。そうして、データ化されたときにはある程度まとまったものにすることで、まとめるときに、すぐにそのメモが参考になるようにする。
- データで1st2nd
データ上でもこれが行えないかを試した。
具体的には、一つのフォルダ内を閲覧し、整理する過程で、一つのテキストファイルを開いておき、そこにおもいついたことをメモしていく。そして、最後にそれをまとめなおす。このことによって、今までは削除くらいしかなかったのをなおす。また、今までだと、少ししか重要そうなところがないものであっても、捨てることができなかった。これなら、その小さいところだけをメモれば、それを削除でき、カオス化を防ぐことができる。
まとめ文書の編集を中心に
まとめ文書を作れないのは、それを作るための労力が大きすぎるからではないかと総括。
それを作るには、全体像を把握しておく必要がある。また、そのうえで、個々を洗練していく必要がある。
だが、全体図を把握するというのが難しい。そこで、それを見直す機会を意識的にとることで、今までしていた、仕事を再会する度ごとに、いちいち全体図を把握する手間が省けるのではないか、と思った。
- 文書を開いたままに
一つやったのが、その連続的考察に使っている文書を、ずっと開いたままにしておくこと。そして、個々で考察したことを容易に付け加えられるようにする。
- ログ
もう一つが、ログ。その日その日で、同じ作業をするのではなく、ただ、方針と、その日新しく学んだことだけを、アイデアメモを作ったあとにまとめ直す。そして、編集作業はそのログだけをみて行う。このことによって、いちいち全体をとらえ直す手間を省く。
- タイトルと章の対応
また、アイデアメモのタイトルを、まとめ文書の章番号と合致するようにする。こうすれば、それをどこに加えるかでいちいち悩んだりしなくなる。
時間的分離
物理的に、アイデアを書き込む過程と別のものとして、編集する過程をとらえていなかったこと。そして、そのために区切って時間をとっていなかったことによるのではないか、というように総括。
そこで、そのような時間を別にとる、ということを考えた。
- 環境で区切る
ここでは、その場所を探したり、今の勉強する部屋でやるのでも、コーヒーなりなんなり環境をあらかじめ整えることで、対処しようとする。喫茶店では勉強ができる、ということを参考にした。
- 過程の細分化
また、その過程のさらなる分割。編集までの過程を細分化、そしてそれを意識的に行う。たとえば、まとめる過程、メモを整理する過程、それを書き出す過程、というようにわけられる。そうすれば、あとはそれを順にやっていけば、何とかなるだろうということ。
まとめ文書の分析
最終的にできるもの、そしてその目的が何かを把握した上で、分割し、省けるところはないか。また、個々の仕事に特化することで、その経験の蓄積をはかるのが容易にする。今まで、無意識でも考えていた、記憶だとかの負担を軽減しようというもくろみで、一から論文を作るのは面倒だから、記憶とかそういう非本質的なことを排除するために、論文とは何か、と考えていたのと近い。