手帳とパソコンの連動に至るまでその2

求められる原理

イデアは、まとまった形で整然と現れず、細切れの状態で現れることが大半である。そのために、それを秩序立てて、無駄なく積み重ねる方法論が必要になる。
とりあえずここでは、それを利用するときのことを考えればわかりやすいだろう。そのために必要になる、個々の手間をソフトウェアを使って省いていくということになる。

まず、基本的に省くことのできないことからあげていこう。まずは、アイデアを記述するということである。SFのように、頭にプラグを差し込んで情報を吸い出すような機能が実装できない限り、これは省きようがない。
そして、最後の状態としてはそのアイデアが整然とまとまったものが、手元にある状態になればいい。これも、紙に書かれたものなりディスプレイに映し出されたものなり何なりで、出力される必要がある。

ここでの課題は、

  1. 手軽さ。いかにして思いついたことを、抵抗なくメモとして残すことができるか
  2. 保存性と検索性。そのメモが、紛失したり死蔵されたりしないように。
  3. 編集。アイデアの蓄積を、一つの使える形に仕上げる労力が少ない。

となる。
1)については、野帳、ミニノートPC、携帯のメモ、ロディア
2)については、野帳を番号を振って保存すること、あるいはTextTreeの利用
3)については、ViewLinesの利用と、プリンタの利用
を対応させている。

メモ帳の必要性

イデアを書き留めるということが、まずなされることである。
ここでは、携帯性が必要になる。思いついたことは、すぐにメモをしないとすぐに忘れてしまうからだ。かつ、その際には、あまり頭を使わない方がいい。書き込むこと自体に負担がかからないように。そのためには、いちいち自分が考えていることが何を意味するのか、なぜ思いついたのか、などを気にしない方がいい。つまり、それはカテゴリーごとにまとめるのではなく、時系列順に記述していくべきである。
かつ、その際には後々まで残るように、すなわち紛失をしないようにする必要がある。そのためには、ただ時系列で記述するのでは都合が悪い。書いて一ヶ月ほどならいいが、それ以上たつと検索できなくなる。後になって見つけられないものは、いわばないものと同じでそのための労力は全く無駄になってしまう。そこで、それをカテゴリーとして、まとめる必要がある。これは、時系列にまとめることとは矛盾する。
この方法として、いくつか考えられる。一ページ一項目とする、タイトル、タグなどを付ける、手帳が終わったら索引を作るなど。そのようにすれば、それらを用いて、目的の情報にたどり着くことができる。
だが、一番いいのは、この作業を分離してしまうことである。記述するときには、何も考えず時系列に記述し、そののちにそれを、文章の形でPCに打ち込むのである。このようにすれば、書き込むときにはミミズがはったような字であってもかまわないし、いちいち書きながらいろいろなことに気を回す必要もない。それに、後に何かを書き加えよう、というときも容易にできる。

だが、そのときには手帳→パソコン、というように手間が増えてしまう。これは、手帳に書き込むのが自分の思いつきを書き込むという必須作業であるのに比較すれば、同じことをするだけの無駄な作業である。この心理的な抵抗から、この作業が滞りがちになる。
だから、理想をいえば、アイデアを直接データ化できるのがいい。ミニノートPCを使うとか、携帯端末を使うとかか。手帳と併用をし、PCが使える環境で何かを思いついたらPCを使う、それ以外は手帳で済まして、ちょっとした空き時間に、それを喫茶店などでミニPCに打ち込む、などがいいだろう。
私は、ミニノートPCを所持していなかったので、できるだけこの無駄な作業をルーチン化し、心理的負担を減らすという試みをやった。ネットカフェに行って、打ち込むなど。

手帳を具体的にどう使うかは、以前書いたものを参照してほしい。

TextTree

PCにデータとして残すのは、保存性、検索性のためである。アイデアを記述する、という手帳よりは、一歩それを利用する、「どうやってまとめるか」に近づいたともいえる。
必要になるのは、次のことである。

  1. ファイル形式が汎用性を持っていること
  2. フォルダ、ファイルの形式、名前を付ける作業などが容易
  3. 手軽に使用できる

ここでも、考え方は同じである。考えずに作業する、ということと、それが自然に保存性や検索性に適したものになっていること。この用途に、私はずっと、TextTreeを使用している。

TextTreeは、メモ帳ソフトのひとつでフォルダツリーが使えるものである。
これを使っている理由は、まず、保存形式がテキストファイル形式であること。これにより、TextTreeで作成したファイルを、grepにかけたりすることが可能になるし、他のソフトで閲覧したり、編集したりが可能になる。次に、フォルダやファイルの作成が容易である。それぞれ、ホットキーで作ることができ簡単。また、デフォルトのフォルダ、ファイル名が日付になっている。これも、自分の用途に合っている。また、自動でセーブをする機能があり、これも便利。

私は、基本、手帳と対応させてフォルダ名を決めている。フォルダは、日付で一日単位。2009-01-06、2009-01-07、と、ルートフォルダからずらっと並べている。ファイル名も2009-01-06.txtという形で自動で記入される。そして、作成した日にちがかぶったら、2009-01-06_#1.txtというようになる。手帳からPCに打ち込みなおす期間は、結構幅がある。特に目的もない場合には、数ヶ月ほっておく、ということもある。
そのファイルの内容を示す、タグやタイトルは一行目に記すことにしている。ファイル名にしないのは、書き出す前には適当なタイトルを思いつけないことが多いからだ。一行目にした場合、ファイル名検索に引っかからないためにgrepをいちいち使う必要があり少し面倒ではある。

私がしている設定についても記しておく。
一般タブでは、保存形式をS-JISに変える。これは、単にViewLinesがその形式にしないと文字化けするから、という理由でやっている。
ルートフォルダでは、TextTreeのデータ用のフォルダを一つだけ登録している。以前は、まとめ用フォルダなどいくつか分離させていたが、恒常的に使うフォルダではないので、結局使わなくなってしまう。一つのフォルダにまとめた方が効率がいい。このフォルダの中身は、一日ごとのフォルダがずらっと並列している状態。中身をいちいち確かめるためには不都合であるが、閲覧は別のソフトでやるため問題はない。
実行では、ポチエスを登録している。これで、おのおのの閲覧ソフトなり、エディタなり開く。いくつか開けるようになっているが、たいてい使うのは、プリントアウトするための設定をしているサクラエディタ、閲覧用のttPage-R、エディタのEmEditorのフリー版だ。
ちなみに、私の場合には、データもTextTreeも併せてUSBメモリに入れている。ネットカフェなどでも、入力をしたい場合には、このようにした方が使いやすい。

まとめる方法論

タグによる検索、あるいは文章中の文字の検索がある。
検索ソフトは、それによってファイルの一覧が出て、かつその内容もみれるものがいい。ViewLinesを今使っている。

また、関係のあるファイルを探しだし、それをプリントアウト。編集作業を外部で行うという方法もある。これは、扱っているデータが膨大であるときに有効。たまたまではなく、一定の期間、ずっと取り扱うような場合にはこのほうがいい。
そのときには、いかに脱線をしないか、いかに無駄な発想や、同じ発想をしないかが課題になる。
定期的にそれに関係するものを印刷する。全体的視野からかかれたものを書いておき、まずアイデアを記述する前にそれを読むようにする。そして、自分にとって今考察が必要なのは何かを確認し、ベクトルを決めてから考察を行う、などをしていた。
また、思考の発展が視覚的にわかるように、アイデアを文章の形にしたものにバージョン番号を打ち、それを改訂していくということを行った。また、他にはそのファイルの内容の全体的位置づけを知っておくために、いちいちそれについて書き出す項目をファイル内に作ったり、記述された内容が論理的、かつ読みやすいものであるように、型を作ったりなどした。